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こんなところにAI技術 ~AIが土木を救う~

国土交通省では建設業界へのICTの活用を推し進めるi-Constructionという取り組みを2016年度から進めています。
無人機による測量や、3次元測量データを多方面に利用する効率化など、旧態依然と言われる建設現場の生産性向上を目指すものです。

建設現場というと市街地やビルを想像しがちですが、高速道路やトンネル、護岸工事などの現場も含まれます。
日本は川が多く起伏に富んだ国土ながら、隅々まで河川を整え、崖を固め、道路を拡げ、橋を架け、トンネルを掘り、線路を延ばしてきました。
現在、最もAIの力を必要としている分野のひとつが土木・インフラ分野です。

安全な工事のために

数年前、博多駅前の道路が大きく陥没する事故が起こりました。
技術の進んだ今も、トンネル工事には陥没や崩落の危険が伴います。

トンネル工事の問題解決に挑む

安藤ハザマはAIを使ったトンネル工事評価システムの開発に取り組んでいます。
一つは古河ロックドリル、マックの2社と共同開発する「トンネル切り羽安定度予測システム TFS-learning」です。
このシステムは、トンネル掘削時、発破のための火薬を詰める孔を掘る時点で削岩機のデータを計測し、そのデータから発破後の掘削面の安定度を可視化します。
実際に人が判定した評価との違いを遺伝的プログラミングで学習させることにより、精度を高めていきます。
掘削前に不安定な箇所がわかるので、落石や崩落の危険が大きく減少します。

もうひとつの取り組みは、日本システムウエアと共同開発した「トンネル切羽AI自動評価システム」です。
Googleの機械学習エンジンTensorFlowを利用したこのシステムは、岩盤の画像と強度データを数万件学習させ、トンネル掘削時に撮影した岩盤画像と類似性の高い画像を自動判別することで、岩盤の強度を自動評価します。
掘削が進むに従って変化する岩盤の地質を、専門技術者なしに判断出来るので、安全で無駄のない施工に繋がると期待されています。

人手不足を補う

インフラを支える多くの企業では、長年、人手不足と資金不足に悩まされ続けています。

熟練の技で地下を掘る

清水建設は名古屋大学と共同で、オペレーター個人の力量に頼るシールド機操作をAI化しようと開発を始めました。
地中を掘削するシールド機の操作には熟練の判断と腕が求められるのですが、熟練オペレーターは減りつつあります。
今までオペレーターが担ってきた、膨大なデータの監視、判断、操作、という作業の全てをデータとして蓄積・分析することで、監視データの変化とオペレーターの操作を解析、モデル化し、AI化に繋げようとしています。
暫定モデルでは既にオペレーターの操作行動の7割近くを再現するところまで来ているといいます。

老朽化を効率的に発見する

大手地質調査会社の川崎地質では、富士通の「Zinraiディープラーニング」を利用して、AIによる路面化空洞解析技術を開発しました。
地中レーダ探査装置で集めた膨大な画像データの中から、道路陥没に繋がる空洞を自動判別するシステムです。
専門技術者が目視した場合と比べると、判定時間は10分の1にまで短縮。
下水道管などの地中インフラが老朽化する中、効率的な管理に需要は高そうです。

長大な河川を見守る

大雨や洪水などの気象が激化する中、目視を中心とする河川の維持管理も人手不足が深刻です。
八千代エンジニヤリングとブレインパッドは、河川のコンクリート護岸の劣化をAIが判定するサービス「GoganGo」を共同開発しました。
このシステムでは、撮影されたコンクリート護岸の画像をディープラーニングで解析し、自動的にヒビ割れの形状と位置を抽出、抽出した面積に基づき、同一河川各所の程度に優劣をつけることが出来ます。
こちらもGoogleの深層学習フレームワーク「TensorFlow」が使われています。

AIは足元から

人材確保、コスト削減、安全性の向上、働きやすさの改善など、現場の抱えるさまざまな問題を解決する妙手として、AIには大きな期待がかかります。
一見、デジタルとは縁遠そうな土木・インフラの現場ですが、足元を支える分野から、AI技術は多様に花開こうとしています。

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