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【やってみた】マーケターでもBOTを使ってみたい!Vol.3(後編) 〜実際にBOTを構築してみました〜

私ヤマダこと山田裕嗣がマーケター視点でBOTの“ツール化”を考える本連載。これまで、BOTの意味や定義といった「そもそも論」を追ってきました。3回目となる本稿では、BOTに興味を持っていたという世界文化社「e-Begin」(http://www.e-begin.jp/)編集長・中村重樹さんと、ネオス株式会社・後藤さんのお二人に登場してもらいます。マーケターがBOTを使うイメージを体感するため、実際に皆が日常的に接しているモノ=すなわちメディアで、BOT作ってみれば面白いんじゃないか、と。果たして実現可能なのでしょうか。前編とあわせてお楽しみください。

株式会社 世界文化社
e-Begin編集長 中村重樹
創刊30周年目を迎える老舗男性モノ雑誌『Begin』を21年間担当した、あらゆるジャンルの情報を知り尽くす生き字引。2017年10月より公式WEBサイトである「e-Bgin」の編集長に。

■入り口で“つかんだ”ワードを具体化して選択肢を絞っていく

山田:
“つかみ”を設定した上で、次に読者は、どのようなワードで商品を絞り込むのでしょうか?

中村:
一般的には、ジャンルの次に“価格”が来ると思うんですよ。ただ、うちの読者はここが最後なんですよね。まず商品の魅力を知ってから、“こんなに高いんだ”“これなら買える”みたいに、価格は最後の判断材料にすぎない(笑)。そこはBeginの特色かもしれません。普通はカバンを買おうと思ったら大体の予算を決めた上で選ぶけれど、Begin読者は「10万円? 高いけど…うーん」と悩むタイプ。

山田:
多分、カバンとか財布とかだと材質にいきそうな気がするんですけど。“素材”とか“材質”みたいなものってどうでしょうか。

中村:
革とかにこだわる人は多いですね。何革かはもちろんですが、エイジング(経年変化)や重さに注目している人も。革製品はどうしても重くなりがちなので、最近は軽く作られているカバンなんかも人気傾向にあります。

山田:
カバンとかだと、予算と同じくらい“形”もすごく大事ですよね。

中村:
形状に加え、ビジネスかカジュアル向きか、とかも大事ですね。最近はオールマイティーに使えるタイプもありますよね。雑誌の企画としては、そういったオン・オフ兼用バッグは人気が高いんですよ。

山田:
まさにそこら辺が“BOTとしてできるか”という部分のせめぎ合いだと思うんですよね。「ビジネスとカジュアルの2択で選んでください」というときと、「どっちでも使いたい」などの曖昧な回答で次に進みたいときがあるはず。多分、BOTに落とし込む際に、どこまで許容できるのかがポイントなのかなと。

後藤:
チャットボットは“会話処理”というより“単語処理”に近い技術なんです。前後の単語を抜き出して「カジュアルなのかビジネスなのか、どっちも使いたいのか」ということは判別できると思うんですけど、会話処理ありきにしたときにどっちかわからなくなって、実はビジネスが欲しいのにカジュアルに行ってしまう可能性があります。そこはユーザーに選択肢として与える方が処理しやすく、正確になるかと思います。

山田:
時計とかだと、次の選択肢に何が来そうですか。

中村:
時計は価格の幅が大きいんですよね。また、ドレスウォッチかカジュアルウォッチの線引きも、本来のマナーと現実は違う。例えばロレックスのサブマリーナーは、ダイバーズウォッチなので本当はドレスNGですけど、海辺で見るのではなく、繁華街のバーカウンターにいる紳士のスーツの袖口で光っていることのほうが、多いと思います(笑)。

山田:
なるほど、モノの特性を突き詰めるほどに難易度も増しますね。後藤さん、2つ目以降の分岐は、ユーザーにとってわかりやすければ、いろんなパターンがあってもいいのでしょうか? 例えば時計だと、2つ目にいきなり価格帯が来て、カバンだと用途が来て……というふうにバラバラになっていても問題はないのでしょうか?

後藤:
問題ありません。選択肢によってチャットから返事する内容が変わらないと、逆に何を聞いているのか分からなくなってしまうので。適切な質問と回答を得るためのものとしての分岐は、むしろ必要ですね。

チャットの良いところは、何を選んだか見えやすいというのがあります。過去にどういう発言をしたのかを追うことができるので、話の流れをユーザーも認識できますし。

山田:
アイテムを最初に絞り込んで今回はファッション、靴、時計、カバンの4つになったとしましょう。時計なら次に価格帯が来て、カバンだと次にビジネスorカジュアルor兼用といった用途が来ても大丈夫なんですね。

中村:
ファッションだと広すぎるので、“アウター”とか最初にアイテムを絞った方がまだやりやすそうですよね。

山田:
BOTにしていくにあたり、あまり言葉が広すぎると、それを選択した時のイメージが湧きづらいから選択肢としてイマイチかもしれませんね。

中村:
かといって“軍パン”とか、ジャンルを絞りすぎるのもよくないですよね。

■ユーザーフレンドリーに考える場合のシナリオ構成とは?

山田:
例えば今回は「靴」「カバン」「時計」「ファッション」の4ジャンルのうちどれかをお題にしたとして、その次の分岐をどう考えていくのがいいんでしょうか。

後藤:
商品がある程度少ないもので、「これです」というのが決まっているのであれば、深く聞くのもいいと思うのですが、具体化するための質問を重ねると単純作業になってしまう可能性があります。そのプロセスはマックスでも5、6問程度で、そこまでで「これです」といえるのか、それとも、「あなたに合う商品はこのあたり」程度で出していただくのが、入り口としてはいいのかなと思います。

山田:
カバンだとアイテム、用途、形、素材、色、価格帯などの切り口がありますが、いかに負荷なく組み合わせるかですね。
そして最後の結論の部分は、1アイテムをピンポイントで提示する場合と、複数のアイテムを提示する場合で、ユーザーの受け取り方も違うと思うんです。これはどちらかに統一したほうがいいのでしょうか?

後藤:
統一してもしなくても、どちらでもいいと思いますよ。例えば店員さんにいくつか候補を出してもらうのが好きな人もいれば、ピンポイントで決めてもらうのが好きな人もいますから。

中村:
う〜ん、なんとなくですけど、ジャンルによって、たったひとつ「これ!」って言ったほうがいいものと、逆にある程度こちらで絞り込んだ上で選択肢を多く出してあげたほうが親切なものと、両方ある気がします。

山田:
BOTの落としどころが「いくつかオススメがあります」だとすると、選択肢の振り幅はどの程度残すのが良いでしょうか。色は聞かないでオススメの中で出してしまって、他のものだけ先に聞いておくとか。さすがに価格帯は3千円のものと10万円のものを一緒に出すのはどうかと思うので、聞いておいた方がいいかもしれません。
例えば、「オススメはこの3つです」という場合、読者側が好みに近いモノを選ぶと、さらにそれに近いものをオススメしてくれるとかは可能ですか。

後藤:
技術的にはできると思いますね。画像として表示させることも可能です。

山田:
リンクの記事を読んだ方が面白いよね、ということもあると思うんです。

後藤:
「オススメの商品はこれだ」というのをチャットボット上で言うと、文字数が多くなってしまってユーザーの負荷にもなります。それこそ雑誌のタイトル(キャッチ)や写真のように、何がオススメなのか言い切ってくれる見せ方のほうがユーザーフレンドリーかもしれません。

中村:
最後にプレッシャーが(笑)そうですね。まずは“お題”を決めて、
特定なのか、複数のオススメなのか、具体的に落とし込める『Begin』ならではのモノを具体化してみます。

まとめ

入り口は“つかむ”ためにふんわりと、ただ、暇つぶしでやる○○メーカー的な遊びならともかく、Botとしてサービス化するなら、そのつかみから回答のわずか数問の間にユーザーを納得させられるだけの、見せ方と聞き方のコミュニケーションが必要です。次回はその“コミュニケーション”のプロである『Begin』さんが実際にBotを設計します。お楽しみに!

聞き手:山田裕嗣
構成:津田昌宏
写真:宮前一喜(APT)

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