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【やってみた】マーケターでもBotを使ってみたい!Vol.1 〜そもそもBotとは?〜(後編)

私ヤマダが探るBotの運用術。前編では「Botとは何か?」について、ネオス株式会社の新井大輔さんにお話しを伺いました。引き続き、新井さんへのインタビューからBotに対する理解を深め、マーケター視点による活用方法を模索していきます。

EnFlow株式会社
代表取締役・山田裕嗣
人材ソリューションを扱う企業を経て、ITベンチャーの共同代表となり、統計分析を使ったB to Bのマーケティングオートメーションシステムを開発。現在は独立し、新規事業から人材開発まで請け負うコンサルタントとして活動。ベンチャー企業の人事役員、人材系新規事業の責任者なども務める。

■Botの単位は“人格”!?

新井:
面白いのが、Botって人格で提供するんですよ。1人格いくら、みたいな。だからBotは一応、人なんですよ。

——Botの単位が人格なんて初めて知りました! 1人格には何が含まれるんですか?

新井:
ヘンな話、何でも含めて1人格というか。弊社ではそういう風に売っています(笑)。社内FAQに関するBotは1人格なので、例えば社内手続きを一手に担う総務の○○さんという人格をBotで作るようなものです。そうすれば○○さんが会社を辞めても困らない。

——では僕をBotにすることも可能ですか?

新井:
いえいえ、それはできません。あくまで手続きに関するFAQなど、質問と答えが明確なものに限定されます。

——ではBotは「アウトプットが具体的なものに対するツール」という認識でしょうか?

新井:
「このBotは、これに対してどのくらい正答率がありますか?」と、よく営業が聞かれるのですが、Botのできる範囲であれば100%です。ただ、その範囲内でないと無理ですよ、ということ。

——その人格がわかることの範囲内であれば、100%答えられるということですか? すごいですね。

新井:
これは生身の人間も同じだと思います。全ての質問には答えられないけど、逆に自分の得意分野なら対応できる。そういう意味ではBotを人格と捉えるのは面白いし、間違いではないと思います。

——1人の人格が誕生するまでにどういう準備があるのでしょうか?

新井:
FAQだと、まず実施しているFAQを全部もらって、その上で丸める作業というかシナリオを組んでいきます。しかし多いところだと300問から400問あるので、パターンに当てはまらないものは「ここにお問い合わせください」という落とし込みしかできないんですよ。この「その他」がなるべくないほうがBotを入れている意味があるので、できるだけ対応するようにはしていますが……。

——出来の良いお客様サービスのマッピングが、そのまま人格になったような印象ですね。

新井:
IVRなんかも、そういう意味ではBotなんですよね。音声ガイダンスで割り振って適切な人に渡すじゃないですか。

——あれも何が欲しくて何が必要かっていうのを、yes/noで具体化していくシステムですよね。

新井:
そうですね。でも、あれもBotもyes/noだけなので、結局ダイアグラムでしかないんですよ。AIというものがあるから、Botも感情が読めるみたいなイメージがあると思うんですけど、「察する」みたいな世界はまだ難しいなぁと思いますね。

——人間でも難しいことですからね。Botは人格といえども、そこはやはり難しいと。

■今後、人とBotの棲み分けが進んでいく

新井:
ロボットが人間の仕事を奪うみたいな話ってよくあるじゃないですか。でも、顔や文字を入力して認識するのって結構大変だなぁと実感していて。人間は空気感も含めて処理しているので、やっぱりロボットには置き換わらないなと思っています。Botに携わってから、人間は捨てたものじゃないと改めて感じています(笑)

——でもどこかの市政サービスセンターが、AIとBotを使ったら1ヶ月分の仕事が3時間で済んだとか。

新井:
そういった役所などの手続きや、病院の予約などは置き換えられると思います。ひと昔前みたいに、人対人だったからこそできた“陳情”のようなものも今はなくなっていますから。シンギュラリティーってレベルじゃなくても、手続き系の仕事は機械に置き換わるような気がしますね。

——なるほど。そうすると「自動化すると何が良くなるか」というのが、導入する側やマーケターにとって重要になってくると思うんですが。

新井:
弊社も含めて、みんな「効率化します」としか言っていません。現段階では企業側の都合でしかないんですよ。チャットになったらユーザーがハッピーになるかというとそういうわけではないと思っていて、本当にユーザーが求めているものはまだ提供できていないんじゃないかな……。でもメーカーにとっては工数が減ったり、売り上げが上がったりするからメリットはある。だから結局、「人件費などコストが下がります」という言い方になってしまうんです。

——今のお話しは言い換えると「すぐできます」「安くできます」だと思うんですけど、逆にBotを道具として捉えた場合、今まで人がやろうとしなかったことをやらせることもできますよね? ニッチなテーマにBotを置いておくと面白いような気がします。

新井:
セールスフォースの受け答えしかしないとか、ですね。そのためだけに人を雇えないということってあるじゃないですか。人を雇うほどじゃないけどあるといいよね、ということをBotにしてしまうのはアリですね。

——そういうのが増えてくると、人とBotの棲み分けがより進みそうな感じがしますね。ロボットに仕事を奪われるのではなく、共存というカタチで。

■全体の意図を把握できる人がBotをうまく活用できる

新井:
山田さんは「こういうことが自動化されたらいいな」とか、何かありますか?

——ユーザー体験をどう上げるかということを考えていくと、ユーザーは早く知るということに価値があるというのが8割で、これはすごくBot向き。そのほか、ちゃんと知りたいというのが2割。早く知りたいと、ちゃんと知りたいの切り分けがうまくいくといいのかなあと思います。

新井:
ねぇねぇちょっと、みたいなことを聞くにはチャットのインターフェイスがいいと思うんですよね。でも今はちょっと聞きたいっていうのに、うまく返せないのが現状です。

——チャットボットをどう使うかと、Botをどう使うかは違いますよね。チャットはUIに近いと思うんですけど。

新井:
チャットはある意味インターフェイスでしかないので、何につなぐのかというのが大事。別にサイネージでもいいと思うんですけど、今はどうしてもチャットボットという括りになってはいます。そこはしっかり切り分けて価値を提供していくということなのかな。チャットボット周りって、デファクトみたいなものがあまりないんですよね。

——汎用人格はないんですか?

新井:
ありえないと思うんですね。全知全能みたいのは多分出ないんじゃないですか。FAQといっても会社によって中身が違うじゃないですか。

——なるほど。通知の話などはIoTと重なる部分が出てきたり、機械学習と混ざったりするので、「Botとは」の説明はやっぱり難しいですね。

新井:
何かしら引っかかる人の話を集めた時に、Botとしての輪郭が出るんじゃないかなと思うんですよ。だからIoTの人がBotをどう捉えているのかなど、もっと話さないといけないなと思っていて。現状ではモノありきでつなげているだけなので。

——Botをちゃんと使おうとすると、どうやって使えばいいのかわかる人がいないと進めづらいと思います。どんなことを考えられる人が、Botを上手に使えると思いますか?

新井:
シナリオをある程度作れる人だと思うので、ユーザーがどうすれば使いやすくなるんだろうってちゃんと考えられる人ですね。マーケターの方は向いていると思いますよ。

——シナリオにもいろいろあると思うんですけど、どんなことを考えられる人が向いているんでしょうか?

新井:
細分化したシナリオじゃなくて、全体の大まかな設計図を把握できる人です。意図を把握して集約する作業が絶対必要になってくるので、ストーリーが組めるような人がいないと、Botを導入したけどイマイチちゃんとした返答が来ないねとか、無駄でしたねということになりかねません。

——Botを活用するためには、シナリオ作りなど、まずは人のチカラが重要になってくるというわけですね。

■チャットボットの早さと手軽さは魅力ですね

Botについていろいろ話を聞いた上で、私ヤマダが感じたBotの活用の可能性は、「答えが明確で、ユーザーに早く伝えたほうが絶対いいことを、どれだけ切り出してあげられるか」ということ。それがチャット形式なら、なおユーザーには親しみやすいよねという話。その点で言えばチャットボットは早くて手軽で、非常に優秀だと思いました。

さらに理想を言えば、「もう少しうまく使いたい」といった抽象的な質問と、「ログインってどうするんだっけ」みたいな具体的な質問が、同じ入口から入ってきても、システムの側で切り分けられるといいなぁと。抽象度の高いものは人に、単純なものはBotが返答してくれるようになれば、もっと使いやすくなると思います。

ただ、人事分野に限って言えばBotを活用できる場面は、まだかなり限定されそうです。人や組織に関することは、かっちりと要件定義ができたり、明確な正解が提供できないことも多いので、まだ不得意分野だと感じます。
強いて上げるならば、例えば超大企業の新卒採用など、万人単位の学生とのやりとりが発生する時などは、Botが活躍する機会はありそうですね。
次のシリーズでは、Botの“設計”に携わる方に話を伺い、こういった具体的な領域でどうツールに落とし込むか考えてみる予定です!

聞き手:山田裕嗣
構成:津田昌宏

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