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いまさら聞けない?「チャットボット」のそもそも話

実は意外に古い「チャットボット」の歴史

最近、よく耳にするようになった「チャットボット(CHATBOT)」という言葉。皆さんは、これがどういったものなのかご存じでしょうか? 国際的に定まった厳密な定義があるわけではないのですが、一般的には、チャットボット=人間と会話するような感覚で、必要な情報を得たり、サービスを受けたりするためのテクノロジーと言われています。語源はそのものずばり「チャット」+「ボット(ロボット)」。

複雑なプログラム言語やコマンド文などを覚えることなく、普段使っている言葉で、必要な機能を引き出せるのがチャットボットの良いところ。かつて、コンピューターがGUI(Graphical User Interface)によって間口を大きく拡げたよう、チャットボット技術の普及によって、これまで以上に多くの人々がITの恩恵を手軽に受けられるようになることが期待されています。

ちなみに、世界初のチャットボットとされているのは、1966年にマサチューセッツ工科大学で開発された「ELIZA(イライザ)」と呼ばれる自然言語処理プログラム。これは、心療内科の世界で発展してきたカウンセリング技術をコンピューターに模倣させ、ユーザーの入力に対して、データベースの中から適切な情報を引き出して提供するというものでした。残念ながら当時のコンピューター技術ではこれを実用的なものにすることはできなかったのですが(……というよりも、ELIZAは、データベースの範囲外の入力に対して、いかに“それっぽい”応答をするかが技術的なキモとなっていました)、多くの人が、これに可能性を感じ、チャットボットの開発・研究が始まります。

1990年代後半から、いよいよ実用フェーズへ

その成果の1つが、30代以上の方ならご存じであろう、Microsoft Office 97に搭載された対話型ヘルプ機能「Office アシスタント」。イルカのカイル君が、微妙な受け答えをしてくれる、あれです。今にして思えば、頼りない仕組みではありましたが、当時激増したコンピューター初心者にとって、普通の話し言葉で分からないことを質問できるというのは画期的でした。同時期に登場した、検索エンジン「Ask.com」も、「○○○って何?」といった普通の語り言葉(自然言語)で検索できることが話題になりました。

この頃のチャットボットの「壁」になっていたのは、自然言語の入力文から人間が何を求めているのかを理解できないこと。「Officeアシスタント」や「Ask.com」は質問文に含まれる単語を元に回答を引き出す「辞書型」と呼ばれるチャットボットなのですが、それではやはり求められている答えを返せないことが多かったのです。

そんな中、チャットボットの世界に大きな影響を及ぼす技術的革新が起きます。21世紀に入ってから、人間の話している言葉を分析する「形態素解析」という技術が劇的に進化し、自然言語の内容を、かなり正確に把握できるようになったのです。

これを駆使して、作り出されたのが、「Watson(IBM)」や「Siri(アップル)」「Alexa(Amazon)」などといった、新世代の人工知能サービス群。この頃(2010年代~)から、“人と機械とのコミュニケーション”がグッと現実的なものになってきます。もちろん、国内チャットボットの世界にもこの技術を駆使したものが登場。2014年に登場した、リクルート「フロム・エー ナビ」のマスコットキャラ「パン田一郎」や、アスクルのネット通販サイト「LOHACO」のカスタマーサポート「マナミさん」などは、当時大いに話題となりました(もちろん、現在も活躍中です)。

これからは「ボットる」が合い言葉になる!?

その後、2016年に、世界最大規模のSNS「Facebook」が、開発者向けイベントでMessengerにチャットボット機能を実装することを発表し、「LINE」や「Skype」など、SNSを中心としてチャットボットの開発競争が加速します(このこともあって、多くの人が、2016年=チャットボット元年としているようです)。

現在では、ECサイトからニュースサイトなど、幅広いWebサービスなどで、チャットボットが活躍中。先に紹介した「パン田一郎」や「マナミさん」などの事例に加え、宅急便大手のクロネコヤマトがLINE上で動作するチャットボットによって、集荷や再配達、料金問い合わせなどを、話し言葉で行なえるようにしたり、経路案内サービス「NAVITIME」がチャットボットを使った乗換案内機能を実装したりしています。また、2017年には、横浜市がゴミの分別問い合わせをチャットボットで自動案内する仕組みの実証実験をスタート。自治体もチャットボットの活用を本格検討し始めているのです。

今後、この流れは間違いなく加速していくでしょう。数年後には「ググる」のではなく、「ボットる」のが当たり前の時代になっているかも?

山下 達也(ジアスワークス)
ICTおよびデジタルグッズ分野を中心に執筆を行うライター/編集者。

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